2015年10月20日火曜日

百田尚樹著 「大放言」 新潮新書

  
私はこの著者の作品として「永遠の0」しか読んだことがないのだが、それがとても面白かったので、「大放言」というタイトルの本もつい買ってきて読んでみた。
炎上覚悟とあるからさぞや激しく面白い放言であろうと期待していたが・・、読み始めてみると、私から見れば、放言ではなくてごく当たり前の発言が幾つも続いた。


例えば第二章の中にある原爆慰霊碑の碑文であるが、そこには「安らかにに眠ってください、過ちは繰り返しませんから」とある。私も以前から「安らかに眠ってください、過ちは繰り返させませんから」の誤りかと思っていた。ところが原爆を投下したアメリカが悪いのではなくて、日本が悪いからアメリカは原爆を投下したのだと思っている日本人が多くて、その様になったらしい。 
日本人がアメリカに洗脳された結果であるというが、その通りである。

戦後、アメリカに占領されていた日本は六年間も、毎日、NHKのラジオで「これが真相だ」という番組を強制的に放送させられていたのを思い出す。当時、すべての新聞もその内容はアメリカの統制下にあって、あの戦争は全て日本が悪かったのだという記事を書いていた。

第四章の“我が炎上史”では、それまでの章とは異なり、百田尚樹氏が選挙演説などで話した言葉を放言として非難した国会議員やマスコミの話が掲載されていて面白かった。
ここでは彼の発言の言葉尻というか、ごく一部分だけを取り上げて「百田尚樹がNHK経営委員であるのはけしからん」と絡みつき、国会などで問題とした幾つかの発言であった。

その第一番目は、「人間のクズ」発言である。これは先の東京都知事選(20142月)で、やむにやまれぬ気持ちで立候補したという田母神俊雄候補(私も面識がある)の応援演説の中で、「田母神候補以外の候補はどいつもこいつも人間のクズみたいなやつです」と百田さんが言ったことである。この時の有力候補は元厚生大臣の舛添要一氏(現在の都知事]、元首相の細川護熙氏、弁護士連合会の元会長の宇都宮健児氏であった。
演説で名指しはしていなかったが、彼らをクズ呼ばわりしたと言われても仕方がない面もあった、とこの本で述べている。

早速、民主党の有田芳生議員が国会の予算審議の場でこれを取り上げ、安倍総理に対して「NHKの経営委員が候補者に人間のクズという発言をしていいのか」と質問した。安倍総理は「私は聞いていないから答えようがない」と答弁したが、同じ質問を何度も繰り返すので、総理は予算審議の場で延々とその質問を繰り返すつもりですか」とたしなめた。

確かに「人間のクズ発言」は褒められた言葉ではないと百田氏も認めており、私もそう思うが、国の予算を決めるという審議の場で議論すべき問題ではない。しかし百田尚樹を叩きたい民主党はその後も同じ質問を安倍総理にぶっつけた。それに対して安倍総理は「私は某夕刊紙に毎日のように人間のクズと書かれていますが、別に気にしませんけどね」と答えて議員たちを爆笑させた。
私なら「私は某夕刊紙に毎日のように人間のクズと書かれていますが、有田議員はそれに対してどう思いますか」と逆に質問していただろう。

 その有賀議員の名前は「よしお」ではなくて「ヨシフ」と読むそうだ。これはヨシフ・スターリンを尊敬していた共産党の父が命名したということである。

 民主党は「こんな品位のない人がNHKの経営委員でいいのかとなおも安倍総理に食い下がったが、相手にされないので、総務委員会で「百田尚樹を国会に呼ぶ」という「プロジェクトチーム」を作って運動を始めた。
 ところが、そのあと色々なことがあり、結局、百田さんが国会に呼ばれることはなかったのだが・・国会に呼ばれた時にと用意していた彼の答えは、「国会のヤジ」とともに、もっと面白いので、興味のある方はこの本を読まれるとよい。

 その他、同じ選挙演説で「東京大空襲、広島・長崎の原爆投下は大虐殺だ」と言った発言も、翌日の新聞には、全体の論旨を無視して彼の一部の言葉だけを取り上げ、百田尚樹批判の記事を掲載した。
 東京大空襲はここでも詳しく説明されているが、私もあの戦争末期における大都市への無差別空襲と原爆投下は大虐殺で、これが戦争犯罪と言わないで何が戦争犯罪なのか?と思っている。

 これに関する一連の騒動で最も腹が立ったのは、毎日新聞社がアメリカ大使館に「日本の百田尚樹という作家が東京大空襲を大虐殺だと言っています」ということをわざわざ告げ口に行ったことである。そして大使館が「非常識な発言だ」というコメントをすると、それを嬉々として報道し、朝日新聞社は本国の国務省まで確認を求め、同じ回答をもらうと、これまた嬉々として報道したことである。
 なぜ日本のマスコミは百田尚樹の発言を「その通り」だと言えないのだろうか。

 その他、「南京大虐殺はなかった」とか「日教組は日本のガン」、「土井たか子は売国奴」、「きれいなお姉ちゃんを食べたい」などなど面白い記事が幾つもあって、楽しく読ませていただいた。

 私から見れば子供のような・・戦後10年以上も経って生まれた百田尚樹さんだが、どうぞこれからも日本国のために、どんどんと大放言をしてもらいたいものだ。


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